美術家名や都市などブログ内を検索してね

2018年4月7日土曜日

プーリア:レッチェ; 究極のプーリア・バロック

私はレッチェに泊まったことがありませんから今年は絶対宿泊するつもりです。イタリア半島のふくらはぎに当たるプーリアは、細長くアドリア海に面していて、歴史的にも行政的にもだいたい三つの地域に分かれています。北からフォッジャ、バーリ、レッチェですが一言で言ってしまえば、非観光地で移民や農産物関連の仕事が多いフォッジャ、中世ノルマン王朝の名残を最も留めたバーリ、ド派手なバロック様式の聖堂が際立つレッチェかな。

Santa Croce

Piazza Sant'Oronzo

言わずと知れたことですが古代の遺跡は見事に残っています。街の守護聖人の名を持つ広場は、旧市街の中心にあり、その中心はアンフィテアトロ(古代ローマ劇場)跡です。このアンフィテアトロを基準に街が構成されているためか、歴史的に圧倒的な権力が存在したためか、北イタリアのコムーネ(自治都市)のような、市民的な規模や価値観とは違った、広い空間と派手さが目立ちます。

Piazza del Duomo

中世の痕跡や印象はあまりなく、バロック時代以降の建造物が、嫌が応にも目を引きます。司教座聖堂広場も大変広く、周囲に重要な宗教建造物が立ち並び、まるで舞台のような印象を与えます。

Santa Croce

最も有名なのはSanta Croce(聖十字架)聖堂で、レッチェと言えばこの聖堂のファサードが載るのが普通です。最初の写真がその一部です。執念さえ感じる装飾を全面に施した、バロックの楽しさも俗悪さも感じる聖堂ですが、ここまでやればやはり芸術の域だろうと、納得させられます。この聖堂は複合施設の一部で、通りいっぱいに白いバロックの館が延々と続くのですが、前に広場が無く、なかなか良い写真が撮れません。広角にするか見上げるかしかないのが残念です。

San Matteo

私にとって印象的だったのは写真の聖マタイ聖堂です。十字路の角にあるのでいきなり現れます。一般に南部イタリアのバロック様式はスペインのバロックと似て、平面的な構造の上に装飾を気の狂ったように加えてゆく、というものですが、この聖堂はローマのボッロミーニやベルニーニの作品のように、流動的な曲線が効果的で、狭い空間を生かしているところなど、バロック建築の代名詞のような San Carlo alle Quattro Fontane を思い出します。と言っても内部はプーリア・バロックが炸裂していて、ボッロミーニの革新的で幾何学的な美しさとは程遠いのですが、そんな祭壇も私は好きです。天才の芸術作品では無く、当時の民衆の好みが如実に伝わってきます。


これがその祭壇です。テラコッタやストゥッコ(漆喰細工)を多用した、天使(プットー)が所狭しと配され、見方によっては悪趣味とも言えますが、笑いを禁じえませんでした。これは良い意味です。楽しくしてくれたのですから。

Chiesa del Gesu`

これはイエスの聖堂というイエズス会の聖堂ですが、こちらはグッとお金もかかり、技術も向上していますが、趣味は一貫して、バロック特有の捻れ円柱に装飾を加えています。レッチェではあっちでもこっちでも、このネジネジしまくった聖堂に出会います。



柱頭は非常にシンプルな建築でも唯一意匠に凝る場所です。至る所デザイン化されているレッチェでは当然、柱頭は壮絶な凝り方です。

またショッピング好きの私にとって、レッチェは凄く魅力的です。ミラノ、ローマ、フィレンツェといった知られ過ぎた都市には、東京ほどじゃ無いけれど、お店が一杯あり過ぎて限られた時間では大変。どこでも買える有名ブランドには興味が無いので、独自のブランドやモールがあるレッチェには惹かれます。それに北部や山岳地帯は、基本的に暗く地味、それに対して南部や海岸地帯の町は明るくて派手なのも大好き。一歩間違えると大変なことになりそうなところもスリリングです💝👭


0 件のコメント:

コメントを投稿