美術家名や都市などブログ内を検索してね

2017年4月28日金曜日

【展覧会】福ねこ百段階段

http://www.hotelgajoen-tokyo.com/event/hyaku
https://www.fashion-press.net/news/29067

ミラノから4人のお客を迎えていて、前から行って見たかった「百段階段」(東京都指定有形文化財)のイベントと日にちが合ったので行って来ました。

(写真は禁止なので雅叙園のサイトから。百段階段の一部)

雅叙園は昔から面白くて好きで、海外から誰か来るとお茶しに行きます。でも唯一オリジナル建造物の百段階段は普段解放していないので見たことがありませんでした。イベントの時か、かなりゴージャスなディナーをしないと見られないのです。

毎日日光だの柴又だの歩き回っていた彼らはリュック背負ったウォーキング姿。「入っていいの?」とたじろぐくらい雅叙園は敷居が高く感じたようです。私は当然どんどん挨拶しながら入ってチケット(3段階ある:学割、ビュー割、一般)購入し、呆れたゴージャスなエレベーターへ。貝の象嵌細工の説明をしながら上階に到着。靴を脱いでいよいよ階段へ。ところが階段って言っても、メインは階段の脇にある凝ったお部屋で、そこに展示もしてあります。本当はお雛様が一番似合うけど、今回は猫。ねこネコ猫。

(写真は雅叙園のイベントサイトから)

「昭和の竜宮城」と呼ばれたという宴の間が7つあって、それぞれ違った画家や細工師が腕をふるっています。地震や経年劣化してるとはいうものの普段目にしている西洋美術とはまた違った日本美術の面白さ。感覚的には芸術というより民衆美術の領域でしょうか。

私は何と言っても建物が見たかったんだけど、猫好きにはたまらないのかよく分かりませんが、ものすごい数の猫作品が集まっています。上手いなーと思うものや、ふざけたもの、素材も色々で1000円前後だからお近くの人は行って見てはいかがでしょうか。

もちろん展覧会の後は、有名な庭や橋のあるトイレに入ります。ミラノから来た男子一名トイレからなかなか出て来ません。私は男子トイレは見たことないけど、女子と同じなのかな〜っと思ってたら、シエナ出身の彼は男子の便器が並んだ写真を撮りまくってました。


                                   (目黒雅叙園一階の女子トイレ部分)



2017年4月13日木曜日

歴史&美術で堪能:イタリア(春期)

https://www.ou.tmu.ac.jp/web/course/detail/1712I002/

首都大学東京オープンユニヴァーシティの最年長記録(?)を誇る講座です!

戦争の脅威と権力の腐敗が眼に余る昨今、歴史を振り返り学ぶことは何より重要ではないでしょうか。古代ローマから教皇庁、コロンブスやガリレオを生んだイタリアは人類史でも最も貴重なサンプルと考えます。

今年は近代を考える上でのターニングポイントとなる宗教改革五百年の年で、ドイツをはじめ世界ではルターグッズの販売から本格的な研究書まで発売されています。そんな中、南大沢の教室でずっと読んできた「ルネサンスの歴史」(モンタネッリ&ジェルヴァーゾ著藤沢道郎訳)も下巻に入りました。上巻のサブタイトルが「黄金世紀のイタリア」なのに対し下巻は「反宗教改革のイタリア」です。南大沢は首都大学の入試試験の関係で冬期はいつも短期集中講座をやるので、去年の秋の続きとなります。秋期はサヴォナローラをテーマに読みやすい一般書のこの本に加え、本格的な須藤祐孝氏の論文も合わせて詳しく見ました。

今回は『ボルジア家の人々』からです。

(写真:ローマはヴァチカンのボルジアの間の一つ。ピントリッキオとその工房による華やかなウンブリア・ルネサンス様式でルクレツィア・ボルジアが描かれている)


ボルジアに関しては「毒薬のボルジア」など、ルネサンス教皇中最悪の堕落として海外テレビドラマにもなったり(常にドラマは歴史から見るとあまりにバカらしく下らない場面に満ちてはいますが)、塩野七生もボルジア家の大ファンだし、惣領冬実の『チェーザレ』も大人気です。

私は腐敗も悪人も大嫌いだから、こういった作品とは全く違った内容の講座になることは確実です。去年は長年修復されていたヴァチカンのボルジアの間を散々撮ってきました。ピントリッキオの素晴らしさを再確認しました。ピントリッキオはルネサンス教皇達に愛されたペルージャの画家で、私が初めてイタリアに住んだ住所がピントリッキオ通り。個人的にも思い入れの深い画家です。

次の月曜日から!
ずっと続いている講座ですが、初めての方も歴史が好きなら、ローマへ行く予定があったり漫画やドラマを堪能したい方も、ぜひ!!お待ちしています。(登録は大学の上記サイトで)

2017年4月10日月曜日

西洋美術:イタリアの街

春休みが終わり首都大学東京オープンユニヴァーシティの春講座がいよいよ始まります。

今回から参加者の要望で新たな企画を始めますので、ぜひ奮ってご参加ください!
「イタリアの街をあちこち紹介してほしい」という趣旨の要望を今まで何人かの方にいただいたのでその実現です。もう十年以上西洋美術とイタリア史をやっていますが、こういう切り口でやったことはありません。

(写真:何度行っても感動する、ルッカ近郊の雨に濡れる通称悪魔の橋)

美術はどうしても様式や流派を中心に考えることが多く、イタリアや西洋美術の通史だと、8回ほどで古代から現代まで紹介するのにどうしても外せない場所や人に限られてしまいます。

今回は春期講座でイタリア全体を紹介するのではなく、できれば連続的に紹介することを念頭に置いているので、ローマやヴェネーツィアのような大変有名な街から、誰も聞いたことがないけれど珠玉の村のような場所まで混ぜこぜにして、一回一つの街を取り上げます。内容も地誌的な問題から歴史、美術、政治まで幅広く、何よりも現実にイタリアに旅に行くことを想定してお話ししますので旅の好きな人もぜひご参加ください。

(写真:もっともローマらしさが残ると言われる一角)

旅に関しては、どうしても言葉が重要になってきますので、いつもよりさらにイタリア語に慣れるようにもしたいと思います。

今週末15日(土曜日)から!
https://www.ou.tmu.ac.jp/web/course/detail/1711I001/



2017年4月6日木曜日

自力旅の基礎知識(飛行機)

当然(相手は)知ってると思っていることがそうでないことって沢山あります。
私も旅慣れてしまっているので、聞かれて驚くことがあり、まとめました。
おまかせのツアーではなく、自分(グループでも)で計画する人向けです。

① 航空券を購入する際往路だけ購入する人は滅多にいません。世界一周の旅に出かけるとか、いつ帰れるかわからないとか以外は往復で買います。

例)往路はアエロフロート、復路はアリタリア とかはありえません。

② 航空券はいろんな種類があります。
 
例)往復の日時が動かせないFIXフィックスが当然一番安く、これに早割(早期購入)などプラスすると一般的には一番安いです。

例)私はできる限りオープンチケットを買っています。これは日時が動かせるもので、未来の体調とか急な出来事とか旅先での様々な出会いとか、いろんな場合に備えて行き先だけ決めて購入するものです。当然多少高くなります。さらに、往復がオープンとか復路だけオープンとか航空会社によって様々です。

③ 到着地搭乗地は別でもOK

ローマ着ならローマから帰らねばと思っている人が多いですが、そんなことはありません。ローマ入りパレルモ出とか色々選べるので、旅の計画に最も良い選択をしてください。その際、使える空港は航空会社によって異なります。私ならまず、大雑把に重要訪問地点を決め、そこへ行くのに都合のいい飛行場を探し、そしてその空港を扱っている飛行機は何かを、格安航空券の日時と同時に検索します。

【注】日本の場合、胡散臭く(「うさんくさく」ってこう書くのか)、航空運賃と現実に請求される代金に大きな隔たりがあります。燃油サーチャージとか、空港手数料とか、代理店手数料とか払わねばならない代金を含んでいないのです。だから一眼で判断しないで、総額でいくらになるか常に考えること。

日本からヨーロッパへ行く場合、航空会社から買うより旅行代理店から買う場合が圧倒的です。ヨーロッパへ入ってしまえば、そこから先は格安航空から直に買うので本当に安いのですが、現状はそのようです。

(写真はアイルランドの格安飛行機です。イタリア国内を移動するときなど5千円かからずに行けたりするのでよく使います。歩いて機内に直に乗る感じも好き。テーマソング付き😄)

④ 距離によっては同じ金額で一本追加できる。

航空券の値段は非常に不思議でまちまちです。ローマまで飛ぶのと、そこからカターニア(シチーリア)へのフライトを追加するのと料金に変更が出なかったりします。代理店で取る時は徹底的に相談しましょう。当然代理店を通さない方が経済的ですが。

⑤ 絶対直行便が最高か?

イタリアの場合、日本から直行はアリタリアだけです。
残念ながら、アリタリアは何度も様々な危機を乗り越えて運営していて(日本も同じか)サービスの質が高いとはとても思えません。さらに往路と復路で1時間ほど差がありますが、12時間弱から12時間半は飛び続けます。

⑥ 飛行機の時間はそれほど正確ではないことに大注意!

飛行機は乗ったらすぐ飛ぶのもではなく、飛ぶまで1時間、降りるまで1時間(ひどい時は)かかるのが常識です。さらに機体の再チェックとか飛行場が混んでいるとか、天候不順とか様々な理由で1時間くらい平気で遅れます。そうすると直行でヨーロッパ入りするには14〜5時間は機内に閉じ込められることになります。問題があれば18時間くらい当たり前です。体力のある人はいいでしょうが、私のように狭いとこに閉じ込められるのが大嫌いな人には、吐き気がするほど辛いものです。

⑦ 乗換の基本

ということで乗り換えをするのも一般的ですが、南回りのように2回乗り換えとかなるとよほど時間に余裕のある人でないと2日にまたがって到着するので考えものです。ネット検索すればそういう飛行機が安い方にはたくさんあるので注意。

⑧ 乗り換え時間を選ぶ(代理店や航空会社を信用しない)

ここまで書いたように、飛行機の時間は思っているより不安定です。だから乗り換え時間はすごく重要です。乗り換え1時間とかはテロの脅威とかでチェックが厳重になった現在ありえません。よっぽど運が良く、全てが規定通りに進み、あなたがランナーで英語もすぐ理解できる上、その飛行場が大きくなければいいけどって話。

だから最低でも2時間、私はできれば2時間半の余裕をとっています。3時間半とかもいい選択だと思います。

⑨ 空港でできること

空港によりますが、免税店ばかりが空港のいいことではありません。昔と違って免税店の意味もあまりないしね。シャワーとか休憩所があります。普通にカフェもあるけど、マッサージのあるとこや、人によってはラウンジが使えて休めます。

⑩ 絶対機内持ち込み
特に往路では百パーセントお勧めします。ロスバゲ(ロスト・バゲージ=失鞄)という言葉も定着しているように、結構カバンは着きません。今回も一人ロスバゲしました。でも私の旅ではそういうことが起きるのは復路だけ。しかも、彼女が着いた日は東京が土砂降りで、翌日送られてきたのでラッキーと言ってますが。往路でこんなことになったら旅はめちゃくちゃなので絶対預けないように、強くお勧めします。当然、ぐるぐる回るカバンを待つ時間も節約できるし。お土産用に折りたたみバゲージを持って行くか、ワインや書籍など重ければ送ってしまえばいいのです。昔と違って一ヶ月も見れば到着。一週間で受け取ったこともあります。

*最後になったけど、全く言葉ができない人だけの旅はお勧めしません。そう言う人はツアー参加が安心でしょう。


2017年4月5日水曜日

私の旅の流儀:ガルファニャーナ

(以前の書き込みから)

https://www.discovertuscany.com/garfagnana/
ガルファニャーナの観光サイト(英語版)

ガルファニャーナへ行ったことのある日本人が何人いるか知らないけれど、多いはずは絶対ないのは確か。
今回、ピサを入れ替えたことでルッカから奥地の山岳渓谷地帯へ行くことになった。

(写真はがるファニャーナの要塞)


特に自然愛好家ではない私だから(圧倒的に美術館、博物館、都市愛好家なので)なんでと思うかもしれないけれど、この辺は自然遺産に登録されているというような場所ではなく、中世には巡礼が通過した小さな聖堂が点在する地域で、私はこれに目がない。

ガルファニャーナへは行けるかどうかは分からない。
ルッカを早く出て、バーニディルッカ、バルガと無駄なく時間が使えたらその後に入れてあるサプライズ地帯。それに何と言っても天候に恵まれなかったら話にならない。万一悪天候だったらできるだけルッカを遅く出て、バルガだけにしてバーニで夕飯。翌朝は早くローマへ立つ。

がっちり決めないのが私の旅の仕方。一人だったら宿も、街も、日時も決めないで旅をする。帰国便は必ずオープンにしてあるし。

2017年4月4日火曜日

シチリアの旅の感想(旅の具体的なことがわかるね)

素晴らしい感想をいただきました。U氏は首都大学東京オープンユニヴァーシティの講義を受講して下さり、美術旅行も二度目です。とても真面目な感想です。個人的なことに関する以外掲載させていただきました。

📩以後U氏のメール

1日から8日には、私達とともに旅行をしていただき、ありがとうございました。
  
  ジョバンニさん兄弟、アレキサンドロさん達のカターニャ案内は、この旅行の中でも最も印象に残る出来事でした。カターニャとシチリアが大好きになりました。すてきな人々でした。


(写真はカターニアの大聖堂広場)

  
  先生から、又、旅行を共にした人たちからも多く学ぶ点があり、楽しく旅ができました。そどのホテルも特別で楽しむことができました。

  ギリシャ、ローマの遺跡、アラブやノルマンなどの複合文化、パレルモで一番古い教会の佇まい、当時のキリスト教のあり様、どれも新鮮で、私の心に響きました。


ちょっと残念だったことは 
 帰国するアリタリア航空の飛行機が着陸するまで寒かったのと最後のホテルでの蚊の殺虫剤のため、喉を痛めて1週間ほど薬を飲むことになったことでした。これからは殺虫剤とマスクを持参したいと思います。

そして、非情な現実世界に引き戻されたのは
 ロマリア人とエリトニア人の難民が私達がシチリアに居たときに、近くの地中海で事故に会い、多くの死者が出したことを知ったときでした。この地域の複雑さと難民を引き受ける国の姿勢に、その国際性を感じました。

 
 なにはともあれ、先生の講座と旅行により、私の人生は、昨年のトスカーナ旅行から、さらに少し深まり、大きく広がったように思います。ありがとうございました。

2017年4月1日土曜日

2016年美術旅行の感想:修道院、写本他

これを書いてくださったKさんは首都大学東京オープンユニヴァーシティの「西洋美術史」の受講者中、私の感じでは一番美術、特に絵画に詳しい方です。

📩
遅まきながらローマ旅で印象的だったこと

🍷修道院にて
院内(堂内?)に描かれた絵の素晴らしさはもとより、神に一生を捧げた人々の祈りと労働の場は、農園や薬草の植物園のようでもあり、居室、作業場があり、中世の人々も病院や養護院のように頼りにしていたであろうと思いました。工房は技術や文化の継承を担う重要な役割があったと思います。権力の攻防も色々とあったのでしょうね。

📖写本について
羊皮紙の白さ、滑らかさ、艶やかさに驚きました。そして本が宝箱のような貴重品から段々と小型化して貴婦人たちも所有するようになり、マリアも手に持って描かれるようになったのだなと。

ローマについては沢山ありすぎていいつくせません。
エマヌエレ宮殿は何となく遠ざけていたけれども、隣の博物館からフォロ・ロマーノがあんな素晴らしく一望できるとは知りませんでした。
渦巻教会もみたし
教会の名前がすぐこんがらがるのが残念です。📩


(写真:ローマのカンピドーリオはカピトリーニ博物館内からのフォロ・ロマーノ)

🎨 私から

Kさんは私が通訳してる時も解説してる時も一際バチバチ写真を撮りまくっていました。良い写真を期待します。何より私は通訳、説明してる時は当然写真が撮れないので、みんなの写真をあてにしているからです。
感想に関しては具体的で、気持ちが伝わります。授業のときいつも言うように、抽象的なことしか言えないようでは身になっていない証拠。具体的な印象や質問が持てることが印象深くとらえた証拠。Kさんはまともな美術愛好家らしくローマについてだけ書いています。何と言ってもローマの大芸術に比較できる場所はないのでそれは仕方のないことですが、メディエヴァリスタ・ロマネスク愛好者の私としては、じゃ「ローマ以外について」って感想もくれるのかな?と期待します🐶

名前がこんがらがるとか覚えられないのは、語学力の問題です。仕方ないですね。カタカナでは非常に覚えにくいですから。写真楽しみにしています💓